店の前の道路を挟んだ向かいに 有名な貸しスタジオがあります おっちゃんは利用したことがないのでどういうところか知りませんが 若いミュージシャンが毎日毎日 たくさん来ます その中から時々 枕を作りに来られたりするのですが 若い方は 素直におっちゃんの言うこと聞いて帰ってくれます その通り実践してくれるかどうかは知りませんが まあみなさんちゃんと聞いてくれます それが時々 ご年配の方が来られることがあります 今日も そういう女性が来られました 必ず最初に言うことは 「いつもスタジオ来てるんやけど 一度寄ってみよう思っててなかなか来られへんのです 今日も時間あんまりないねんけど何か寝やすい枕あります?」
ほんまは時間ゆっくりある時に来て欲しいねんけどなあと思いつつ
おっちゃん:「誰にでも使える寝やすい枕なんてのはありませんよ
それよりどのようなことで困ってるのかですわ
まず寝るときの姿勢は?寝具は?冷えとかは?」
お客さん:「姿勢? ぜったい横向きです
実はイビキがひどいので 睡眠時無呼吸症の専門に宿泊して
調べてもらったんです そしたらやっぱり無呼吸症やて」
おっちゃん:「それは困りましたね それで何が原因やったんですか
どんな治療してもらってるんですか」
お客さん:「え~ 横向いて寝なさいって言われただけです」
おっちゃん:「無呼吸症の原因調べてそれなりの治療してもらわな
あきまへんがな 熟睡のポイントはあお向け寝です
横向いてたらいつまでも上質の睡眠は得られません
横向いとってもけっこう中途覚醒とかしてるでしょ」
お客さん:「お医者さんが言うたはるねんから 横向きしかダメです
確かに何度も目は覚めます それに足が熱いから
いっつも足出して寝てます」
おっちゃん:「せやから 無呼吸症は治してもらいなはれ
それで寝るのはあお向け寝にしなはれって
でないと熟睡度が上がりませんねんて
それから足出して寝る?
それは冷え性の典型やね 気づいてはらへんやろうけど
けっこう内臓冷やしたはりまっせ
寝具は?」
お客さん:「あんまり時間ないねんけどなあ・・・・
寝具はベッドです」
おっちゃん:「ベッドパットだけで アクリル毛布とか?」
お客さん:「はい、ベッドやからパットです
寒いからアクリル毛布に羽毛ふとんです
暖房してねるときもあります」
おっちゃん「お客さん、枕なんかどうでもええわ
先に寝具を考え直さなアカンし
その隠れ冷え性みたいなのも何とかしないとね」
お客さん:「時間ないねんけど・・・・
冷え性?そうかなあ・・・・」
ぜんぜん信用してない ほんまに半信半疑で聞いたはる・・・・
おっちゃん:「時間ないんでしたら またゆっくり来られたらどうですか
ベッドに敷ふとん載せること
アクリル毛布やめること
そういうことから始めないと
よく眠れるようにはぜったいなりまへん
それにぜったい冷えてますよ お腹が・・・
とりあえず枕はええから このシルクの腹巻き
買って帰ったらどうですか」
結局 わかったのかどうかわかりませんが 腹巻きだけ買って帰りはりました 時間がないからと・・・・
店に入ったらこのまくらよろしいでぇと言ってもらえると思てはるんやろね ふとん屋さんは 八百屋さんと違いまんねん このだいこんおいしいよという風に簡単にはいきまへんのや お客さんのこと知らないと 枕もふとんも売られへんのですわ ふとん屋さんに入るときはそのつもりでお越し下さい ゆっくり時間を作ってからね・・・・