買い手として

容易に想像がつくと思いますが、
いま布団屋の数はどんどん減っています。

布団職人の国家資格である
「寝具製作技能士」の技能検定試験もまた、
廃止寸前に追い込まれています。

それだけ誰も布団に興味がないし、
布団では食っていけないということです。

かつて木綿布団は広く普及していましたが、
時代が進むにつれ消費者は安さや便利さだけを求め、
布団屋はそれに乗じ、合成繊維の寝具が普及しました。

横になれたら何でも良い手軽なものが溢れ、
寝具の質のことなど誰も気にしなくなったのです。

その結果、消費者が眠れなくなること、
量販店が栄え布団屋が廃業に追い込まれることは、
どちらも自業自得です。

寝具業界に限らず、他の業界でも同じことが
起こっているのではないでしょうか。

売り手は売れるものを売るので、
買い手から変わっていく必要があります。

自分がこだわり抜いたものを広めたいのであれば、
まずは自分が逆の立場であるときに、
無頓着であってはなりません。

そうでなければ、
どんなこだわり布団店の店主も、
量販店で安い合繊の布団を買う客と同じということですから。

松井重樹

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です