寝具の素材として、私が最もおすすめしないものはウレタンフォームです。
ウレタンマットレスだけでなく、殆どのベッド用スプリングコイルマットの上層にもウレタンフォームは使用されています。
ウレタンマットは「体圧分散」「S字カーブを維持」といった謳い文句で売られていますが、本来寝具に必要な吸湿性などについて触れられることはありません。
ウレタンは汗を吸わないだけでなく、断熱材として使われるぐらい通気性が悪いため、最も蒸れる素材といえます。
穴を開けたり表面を加工したりすることで通気を良くしているそうですが、その加工自体がウレタンは蒸れるということを表しています。
穴の開いた和布団や、波状の羊毛布団が存在しないのは、その必要がないからです。
また、ウレタンフォームの主原料であるイソシアネートは、微量でも吸入や接触すると有毒な物質です。イソシアネートの健康被害は欧米を中心に50年以上前から問題視されています。
一度形成されたウレタンは安定しており、イソシアネートに曝露することはないといわれていますが、劣化と共にイソシアネートが発生するという可能性も考慮しなくてはなりません。
補助的に合成繊維を使用するにしても、素材の選択肢は他にもあります。
蒸れる上に、有毒物質発生の疑いのある素材の寝具を、態々買ってまで使う理由があるのでしょうか。
松井重樹