子供の布団

殆どの子供が合成繊維の寝具の上に寝ていることは間違いありません。
説明書きに「オーガニックコットン使用」と書いてあっても、表面の生地や付属のカバーだけが綿100%で、中身はポリエステルやウレタンという製品ばかりです。

沢山の汗をかく子供にとって、汗を吸わない合成繊維の寝具はとても不快な睡眠環境です。
子供が布団から飛び出して畳の上に寝ていたり、布団を蹴ったりすることはありませんか。
寝相の悪さは、合成繊維の蒸れから逃れようとしているのかもしれません。

吸湿・保温できない寝具による睡眠時の冷えは、おねしょをしてしまう要因にもなります。
不快さから睡眠の質が悪くなり、排尿せずに眠るための抗利尿ホルモンの分泌に影響を及ぼしている可能性も考えられます。

市販のベビー布団セット等に必ず付いているおねしょシーツは、布団を汚さないためのものですが、これも蒸れる原因の一つです。
子供関連の便利グッズの多くは、子供にとっての快適さや本来求められる機能を無視し、親が楽をすることや管理のしやすさばかり意識して作られているのです。

また赤ちゃんに関しては、寝姿勢も睡眠に大きく関わっています。
赤ちゃんはお母さんのお腹の中で丸い姿勢をとっており、背骨は大人と違ってC字カーブを描いています。
このCカーブは生まれてからも同じで、Cカーブを保ち丸く包むように寝かせてあげると赤ちゃんの身体に負担がなく、リラックスしてグッスリ眠ることができるのです。
これは寝るときだけではなく、抱くときも同じですが、街では縦抱きの抱っこ紐を使っている人しか見かけません。

苦しい姿勢な上に、布団の素材が不快な合成繊維であれば、布団に降ろされた瞬間に赤ちゃんが泣いてしまっても当然といえます。
何でも「背中スイッチ」と諦める前に、できることがあるのではないでしょうか。

松井重樹

お金を出しても買えない

あなたが寝具の固さや柔らかさに囚われている限り、
お金を出しても良い敷布団に辿り着くことはできません。

試しにあなたの知っている有名寝具や一流寝具、
高級寝具の名前を挙げてみてください。

それらは必ず
「体圧分散」
「身体を支える」
「S字カーブを維持」
といった言葉が使われ、
必ず汗を吸わない合成繊維で作られています。

オーダーメイドだろうが何だろうが同じです。

細かい違いはあっても、
組成だけで見ると、
量販店で売られている安物と何も変わりません。

身体を支えるだけの安い素材を用意し、
有名人やネット広告を巧みに使い、
広告費を上乗せして高く売る。

そんな寝具ばかりです。

松井重樹

買い手として

容易に想像がつくと思いますが、
いま布団屋の数はどんどん減っています。

布団職人の国家資格である
「寝具製作技能士」の技能検定試験もまた、
廃止寸前に追い込まれています。

それだけ誰も布団に興味がないし、
布団では食っていけないということです。

かつて木綿布団は広く普及していましたが、
時代が進むにつれ消費者は安さや便利さだけを求め、
布団屋はそれに乗じ、合成繊維の寝具が普及しました。

横になれたら何でも良い手軽なものが溢れ、
寝具の質のことなど誰も気にしなくなったのです。

その結果、消費者が眠れなくなること、
量販店が栄え布団屋が廃業に追い込まれることは、
どちらも自業自得です。

寝具業界に限らず、他の業界でも同じことが
起こっているのではないでしょうか。

売り手は売れるものを売るので、
買い手から変わっていく必要があります。

自分がこだわり抜いたものを広めたいのであれば、
まずは自分が逆の立場であるときに、
無頓着であってはなりません。

そうでなければ、
どんなこだわり布団店の店主も、
量販店で安い合繊の布団を買う客と同じということですから。

松井重樹

99%の日本人

私の目標は天然繊維の敷布団使用率を
10%まで引き上げることです。

天然繊維の掛布団である羽毛布団の普及率は
極めて高い数字のため、
「敷布団」というのが重要なポイントです。

数年前、寝具専門店で寝具を購入する人の割合は
日本国民の約3%という数字が業界紙に掲載されました。

どこからが専門店なのかはっきりしませんし、
その寝具専門店と称される店ですら、
ホームセンターや量販店と同じような素材の
寝具を販売しています。

だから私は99%の日本人が
合成繊維の敷寝具の上に寝ていると考えているのです。

身体を支えるだけであれば合成繊維でも良いでしょう。

しかし実際に布団求められる機能は
ただ身体を支えることだけではありません。

あなたは「あの敷寝具が良い、この敷寝具が良い」という論争が、
全て合成繊維の比較でおこなわれているということにお気づきでしょうか。

あなたはどんな布団の上に寝ていますか。

松井重樹

寝具の機能

寝具に求められる重要な機能は
「吸湿(汗を吸うこと)」と
「保温」することです。この条件を満たすためには、
「天然繊維」を使用する必要があります。

汗を吸わない合成繊維の寝具を使用すれば、
寝具と身体との間の湿度が高くなり過ぎます。

湿度の高まりは不快感を生み、余計な寝返りが増え、
睡眠の質が悪くなる原因の一つとなります。

とくに発汗が多くなる背中側(敷寝具)が重要です。

保温とは単純に、この機能がないと
冬場に寒くて眠れないと考えていただければ、
わかりやすいと思います。

多くの方が、寒いときは掛布団を
沢山掛ければよいと考えますが、
実はこちらもまた敷寝具による
保温というのが重要です。

掛布団を何枚掛けようが、
敷寝具がスカスカの合成繊維や
スプリングマットだけでは、
下へどんどん熱が逃げていってしまうため、
暖かく眠ることはできません。

逆をいうと敷寝具が整えば、
上から沢山掛ける必要もなくなるということです。

一般的には敷寝具の固さや柔らかさ、
枕、掛布団などに焦点を当て、
それらがまるで最も重要であるかのように
謳われています。

決して吸湿や保温、
敷寝具の素材のことについては触れられません。

とくに「○圧分散」「○反発」という言葉には
気をつけた方が良いかもしれませんw

吸湿や保温に優れた寝具というのは、
決して特別なものではありません。

現代人の布団が異常というだけです。

人類がウレタンやポリエステルの上に寝始めて、
一体何年が経ったというのでしょうか。

松井重樹