ベッドを考える

ベッドというと、分厚いスプリングコイルのマットを使うのが当然と思われるかもしれませんが、スプリングマットには汗を吸ったり、保温したりする機能はありません。家具屋さんではマットの体圧分散性を損なわないために薄いベッドパッドを敷くように勧められますが、それだけでは薄くて保温性に欠けますし、そもそもそのベッドパッドでさえ合成繊維ということもあります。

かつてはスプリングマットの上にも敷布団を載せる習慣があったようですが、いつの間にか薄いベッドパッドだけになり、直接スプリングマットに寝ることも当たり前になってしまいました。

敷寝具に求められる機能は固さ調節や体圧分散だけではありません。どんなに身体を支えてくれる素晴らしいスプリングマットを用意しても、その上に吸湿や保温性に優れた天然繊維100%の敷布団を載せなければ、寝床内の温湿度は快適に保たれず、不快な寝床になってしまいます。

分厚いベッドマットは動かす頻度が減るどころか全く動かさない方もいるので、ホコリが溜まったり虫の温床になったりしやすいです。マットを動かさないことは畳でいう万年床の状態に近いということです。高温多湿の日本でベッドを選ぶならば、通気性に優れた木製スノコベッドの上に布団を敷いて使うことをおすすめします。

木製ベッドといっても材質や構造は様々です。材質や構造によって、通気や耐久性は大きく異なります。外見としてのデザインも大切ですが、機能や素材を疎かにしては本末転倒です。見た目に気を取られるあまり、機能や素材を見落としてしまう可能性もあります。

天然の木材には調湿効果、防虫効果、消臭効果や有害物質の除去作用などがあります。まさに天然の浄化装置です。寝室の環境を改善するだけでなく、嗅覚や視覚、触覚からのリラックス効果も認められています。木材風の接着剤で固めたようなものや合板などでは、これらの効果は期待できません。それどころか、却って有害物質を揮発させることも考えられます。

国産の木材や日本製の木製ベッドを選択することは、日本の林業や木工職人を守ることにも繋がります。あなたがベッドにこだわるならば、日本の職人が作る、換気の良い木製スノコベッドで、木材の質の良いものを探してみてください。

一生を共にするベッドに出会えることを願っています。

 

松井重樹

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